山旅(登山)で使われる用語
国土の7割が山間部になる日本では、太古から山は神聖なものとして崇拝される対象であり、6世紀の仏教が伝来する前から修験道者が神聖な山で修行を行うようになりました。江戸時代などでは庶民の信仰の対象として熊野三山や富士山の参拝などが行われています。レジャーとして登山が行われるのは明治時代以降の話で、欧米人たちが文明人の嗜みとして登山を行いました。こうして登山が広まるため、登山で使われる用語は欧米文化から影響を受けたものが多いのが特徴です。
あ
- アイゼン
- 雪上を歩くとき、滑り止めのため靴底に取付ける金具。
- アプローチ
- 基本的には登山口までの道程。まれに山頂に至る全てを言うこともある。
- アイスバーン
- 凍結して氷の様になった雪面。
- アタック
- 最終キャンプから登頂を目的として山頂に挑むこと。
- アルバイト
- キツイ登りや無駄な歩きをしたときに使う。
- 赤テ
- 赤テープの略。コースの目印。
い
- 一本立てる
- 休憩すること。
え
- エスケープルート
- 緊急時に途中から下山する最短ルート。
お
- お花畑
- 主に高山帯に高山植物が群生しているところ。
- おかん
- 野宿のこと。
- お花摘み
- 基本的に女性が用を足すこと。男性はキジ撃ち。
か
- 滑落
- 足を滑らせて墜落すること。
- カヤト
- 茅戸。茅(ススキなど)に覆われた斜面や平坦地。
- ガレ場
- 山肌がむき出しになって、積み重なった岩や石が崩れ落ちそうな斜面。
- 観天望気
- 雲や風などの現象から天気を予測すること。
- カモシカ山行
- 長い距離を歩く登山形式。加茂鹿之助さんが考案したとか。
- カール
- 氷河の浸食でできた窪地。
- ガス
- 霧とかもや。
き
- キジ撃ち
- 用を足すこと。女性の場合はお花摘み。大は大キジ、小は小キジ。
- キジ飯
- 上記を想像して、カレーライス。
- キジ紙
- 上記に使うことから、トイレットペーパー。
- キックステップ
- 登山靴のまま硬くなった雪面につま先を突き刺して登る技術。
- キレット
- 切戸。山稜が鋭くV字に深く切れ込んで低くなっている鞍部。
- 共装
- 共同装備の略。
く
- 鎖場
- 岩場に鎖が設置されているところ。
- クラック
- 手先や足などが入る程度の幅の岩の割れ目。
- クランポン
- アイゼンの英語、フランス語読み。
- クレバス
- 氷河にできた深い割れ目。日本だと雪渓の深い割れ目を指す。
け
- 獣道
- 野生動物が通ってできた細い道。
- ケルン
- 登山道にある石塚。コースの目印として積まれることが多い。
こ
- 行動食
- 登山の行動中に食べる食料。
- コースサイン
- 登山のコースを示す目印。赤テープやペンキ印など。
- 御来光
- 日出の荘厳な景観。御来迎とも言う。
- コル
- 山頂から山頂までの稜線上で低く窪んだ場所。鞍部。峠、乗越もコル。
さ
- 三角点
- 三角測量の基準点。観測精度で一等~四等まである。
- 三点支持
- 岩場を登る際、手足の3本で体を安定させて他の1本で登る技術。
- 三点確保
- 三点支持と一緒。
- 山行
- 山に行くこと。
し
- 縦走
- 尾根伝いにいくつかの山頂をたどりながら歩く登山形式。
- 森林限界
- 大きな木が生育できなくなるところ。
- シャリバテ
- 腹が減って元気がでないこと。
- 周回登山
- 山に登った後、別なコースをたどって登山口まで戻る登山。
す
- スラブ
- 滑らかな一枚岩。
- スタンス
- 足場。
た
- 体感温度
- 風にさらされたりしたら、気温より寒く感じる。これ!
- 単独行
- 一人で行く山
つ
- ツエルト
- 英語ではテントのこと。日本ではビバーク用の簡易テントを指す。
て
- 停滞
- 悪天候などで山中に待機すること。沈殿とも言う。
- 鉄砲水
- 川や沢が急激に増水して氾濫すること。
- デポ
- 山小屋などに余分な荷物を預け、山頂を往復すること。
- テン場
- テント場の略。
と
- 渡渉(徒渉)
- 水流を渡って対岸に行くこと。
- トラバース
- 山腹を水平に巻く様に行くこと。あるいは岩場などを横切る時も使う。
な
- 雪崩れ
- 降り積もった雪が崩れ落ちる現象。
は
- バリエーションルート
- 複数のルートがあるとき、一般ルートに対して困難なルートを指す。
- 幕営
- テントを張ること。キャンプをすること。
ひ
- ビバーク
- 悪天候などで予定外の露営をすること。
- ピストン
- 往復登山。
ふ
- ブロッケン現象
- 雲や霧がある時、背後から光を受けると光の輪と人の姿が現れる現象
- ブッシュ
- 藪のこと。
- 武器
- 箸やスプーンなど。
- 分水嶺
- 雨が異なる方向に流れる境目。
へ
- ベースキャンプ
- 登山の基点になるキャンプや基地。
- ヘッ電
- ヘッドランプの略。
- ペミカン
- 肉と野菜を細かく切って、ラードで固めた保存食品。
ほ
- ボッカ
- 山小屋への荷揚げなどで、荷物を背負って運搬すること。
- ボッカ訓練
- 重荷を背負って山地を投降して、体力増強する訓練。
- ホワイトアウト
- 吹雪や濃霧で周囲が白一色になる状態。
ま
- 巻道
- 縦走路などで、ピークを通らずに水平に作られた道。
み
- 水場
- 飲み水を補給できる場所。
も
- モルゲンロート
- 朝焼け。朝日を受けて雲が赤くそまること。
や
- 藪漕ぎ
- 藪の中をかきわけて進むこと。
- 山屋
- 山をやってる人。
ら
- ラッセル
- 深い雪を踏み分けながら道を開いていくこと。
る
- ルートファインディング
- 進むべきルート(コース)を探すこと。
れ
- レーション
- 非常食。行動食を指すこともある。
わ
- わかん
- わかんじきの略。雪上を歩く時に靴に付ける歩行用具。