クワドラングル
クワドラングルは城壁に囲まれた古都ポロンナルワの仏教遺跡群です。仏塔、仏像、集会場などの数多くの仏教遺構が残されています。クワドラングルにはポロンナルワ時代の仏陀の歯を祀る仏歯寺がありました。時代とともに仏歯寺は新しく建造され、クワドラングルには3つの寺院で仏陀の歯が祀られました。
アタダーゲ
アタダーゲはポロンナルワ時代初期の仏歯寺です。4世紀にインド・カリンダ国から運ばれた仏陀の歯(仏歯)はスリランカで王権の象徴とされ、都が移されるごとに仏歯も移動されました。1815年にキャンディ王朝が滅亡したため、現在の仏歯寺はキャンディにありますが、キャンディ仏歯寺のモデルがアタターゲと言われています。
石柱のみが残されています
木造の2階建で仏歯が祀られました
アタターゲは11世紀末にヴィジャヤバーフ1世により建造されました。現在は石柱と仏像が残されていますが、この柱の上には木造建築がありました。仏歯は2階部分に祀られていたと言われます。
ハタダーゲ
ハタダーゲは12世紀にニッサンカ・マーラにより建立されました。隣のアタターゲよりもかなり大きく重厚な建物です。かつては2階建で、現在は1階部分のみ残されていますが、木造の2階部分に仏歯などが収められていたと考えられています。
木造の2階がある建物でした
奥には仏像が安置されています
ハタ(ヘタ)は60を意味しており、造営に60日を要したとも60個の仏舎利が祀られていたとも言われています。巨大な寺院が短時間で造られたことからもニッサンカ・マーラの支配力の強さが感じられます。
ワタダーゲ
ワタダーゲはクワドラングルの中でも最も大きな寺院です。寺院はポロンナルワ遷都以前の7世紀からありましたが、12世紀にニッサンカ・マーラ王が完成させ、おそらくポロンナルワ時代において仏歯が最終的におさめられた場所ではないかと想像されます。
ポロンナルワに遷都する前からありました
中心には仏塔と仏像が安置されています
東西南北に入口があり、それぞれに仏像が安置されています。天井には木造の円錐状の屋根があったと考えられています。仏歯が祀られる寺院は、アタダーゲ、ハタターゲ、ワタダーゲと時代を追うごとに大きくなりました。
トゥーパ・ラーマ
トゥーパ・ラーマは12世紀にパラークラマ・バーフ1世又はウィジャヤバーフ1世が建てたと言われる保存状態の良いレンガ造りの仏堂です。壁の厚みが2メートルある重厚な造りで屋根も残されています。
レンガ造りの保存状態の良い仏堂です
内部には仏像が並び、小さな窓から光が注ぎます
トゥーパ・ラーマは王が瞑想したところと言われ、内部には仏塔があり壁に沿って仏像が並びます。小さな窓から光が注ぎ、暑いスリランカで涼しく保たれている室内は快適です。
ラター・マンダパヤとガルポタ
インド・カリンガ国出身のニッサンカ・マーラ王は、仏教を篤く信仰して古い寺院の修復事業を行い、カンボジア・クメール王朝に仏教布教使節を送りカンボジアを上座部に改宗させています。こうしたニッサンカ・マーラ王が仏教の経典を聴くために造られた場所がラター・マンダパヤです。
王が仏法を聴くための場所です
ニッサンカ・マーラの偉業が記されています
ニッサンカ・マーラの栄光はガルポタと呼ばれる石の本に綴られています。ガルポタは長さ8メートル、幅1.5メートル、25トンもの重さがある巨大な石で、石の表面にびっしりとスワヒリ語の文字が刻まれています。
サトゥマハル・プラサーダ
クワドラングルはスリランカ国内だけではなく、スリランカ以外からも仏教徒が訪れる聖地でした。サトゥマハル・プラサーダはレンガ造りの7階建の塔で、タイやカンボジアの影響を受けた四角い土台と階段状の形状です。
階段状のレンガ造りの建造物です
タイやカンボジアの影響を受けています
クワドラングルにある他の建造物に比べて異質なサトゥマハル・プラサーダは、11~12世紀にタイの建築士により造営されたと言われますが、歴史書などの記録にはなく謎の多い建物です。
まち旅(旅行、観光)の記録
まち旅(旅行、観光)するために参考となる情報です。
- 住所
- Polonnaruwa, Sri Lanka
- アクセス
- ポロンナルワ駅から車で10分
- 営業時間
- 7:00〜17:00
- 料金
- ポロンナルワ入場料25ドル又は3850ルピー
- 地図