仙台城址（青葉城址）

仙台城は、慶長７年(1602年)に伊達政宗が天然の要害の地に築いた伊達氏の居城です。かつて霊場であった青葉山に築いたため青葉城とも呼ばれます。二の丸は２代藩主忠宗により造営され藩政の中心になりましたが、明治のはじめに本丸が取り壊され現在は石垣と再建された大手門脇櫓が残ります。

仙台城の概要

仙台城は伊達政宗が築城してから歴代仙台藩主が居城とした城です。関ケ原の戦いが起きた慶長５年(1600年)、伊達政宗は岩出山城を居城としていましたが、岩出山城が伊達家領地の北部にあり統治を強固にするために領地の中央部に居城を移すことにしました。

仙台城が築かれた青葉山は鎌倉時代の頃からこの地を支配していた国分氏の千代城がありました。伊達政宗はその跡地を改めて縄張りし、城郭を築くとともに地名を仙台に改めました。築城において仙台城の本丸は青葉山に置かれたことから、仙台城は青葉城の愛称で親しまれています。

仙台は奥州街道にあり、現在の福島県太平洋側を通る浜街道の合流地点になります。また、現在の山形県に続く出羽街道、作並街道にも続く交通の要衝であり、仙台城は四方に広瀬川の渓谷や断崖に囲まれる天然の要害であり、柳瀬川や広瀬川の舟運が活用できる場所でもありました。

慶長７年(1602年)に本丸が完成し翌年に伊達政宗は入城しました。当時としては珍しく天守閣がありませんが、本丸は２万坪の敷地があり大阪城よりも大きな城でした。

1873年の廃城令により陸軍仙台鎮台が置かれ建物の多くは撤去されました。大手門、脇櫓、三の丸巽門が残され国宝に指定されましたが、昭和20年(1945年)の仙台空襲で大手門と脇櫓は焼失し三の丸の巽門は破却されました。現在は脇櫓のみ1967年に唯一復元されています。

伊達政宗

伊達政宗(1567～1636)は、独眼竜で知られる現在でも人気の高い戦国大名です。伊達輝宗の嫡男として米沢城で誕生しました。子供の頃に大病を患い視力が落ちたため母は弟を大変可愛がりました。天正７年(1579年)に政宗は三春城主・田村清顕の娘・愛姫を正室に迎えます。天正12年(1584年)に家督を相続し伊達家第17代当主となりますが、翌年に二本松城主・畠山義継に拉致されてしまいます。政宗は父・輝宗もろとも義継を殺害します。

この頃、豊臣秀吉は惣無事令を発しますが、政宗は無視して戦争を繰り返します。1589年に摺上原の戦いで葦名義広に勝利し東北地方に一大勢力を築きます。小田原討伐では豊臣秀吉から参戦命令が下りますが政宗は迷った挙句、遅刻して参戦します。この遅刻は母親が弟を伊達家当主に据えるために政宗の毒殺を図ったものと言われ、政宗は弟を殺害して伊達家家中の争いを収めます。

豊臣秀吉が亡くなると政宗は徳川方として慶長出羽合戦で直江兼続と戦いました。江戸時代に仙台藩初代藩主となり、仙台城を築城し領内の開発に力を入れ運河の整備も行いました。

仙台城の遺構

仙台城は仙台初代藩主・伊達政宗が築城しましたが、政宗死後の２代藩主忠宗から政務は二の丸で行われました。二の丸は現在の東北大学川内キャンパスになり大手門脇櫓があります。大手門脇櫓は昭和20年(1945年)の仙台空襲で焼失してしまいましたが、昭和42年(1967年)に仙台城で唯一復元されました。

仙台城三の丸の外濠である五色沼は、明治時代に凍結した五色沼でアイススケートが行われたためフィギュアスケート発祥の地と言われます。さらに本丸を目指していくと野面積みの石垣が残る清水門跡があります。清水門は三の丸から沢門に至る途上路にあった入母屋造りの２階建て二重門でした。

本丸の北壁にある石垣は、高さ１７メートル、勾配７０度の高石垣です。石垣は切込み接ぎの布積みで、同じ大きさの石が整然と並んでいます。かつては野面積みでしたが地震で崩落したため新たに積み直されており、平成時代にも補強工事が行われています。

詰門跡から広々とした本丸に入ると本丸大広間の礎石が残されています。大広間には１４の部屋があり藩主が利用する上段の間や天皇や将軍が使用する上々段の間などが用意されていました。今では大広間の部屋を見ることはできませんが、松島にある瑞巌寺に同じような部屋が残されています。

懸造跡は崖にせり出すように建てられた建造物で、まるで清水寺の舞台のような建物でした。現在は何もなく辺りは森林に覆われて展望があまりありませんが、かつての懸造は仙台城下町の眺めが良かったため、天守閣の無い仙台城で天守台の代わりとしての役割も果たしていました。

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