横手公園（横手城）と吉田城跡

横手城は、戦国時代に小野寺氏が横手川と奥羽山脈に囲まれた要害に建てられた平山城です。石畳を用いず土居削崖とし、土くずれを防ぐ土止めと敵の侵入を阻むため韮を植えた城でした。戊辰戦争では旧幕府軍から攻撃を受けて落城しました。現在は横手公園として整備され二の丸跡に三層の天守閣様式の展望台が建てられています。横手城南西部には小野寺氏が隠居のために築造した吉田城が残されています。

小野寺氏と横手城

横手城の築城時期は諸説ありますが、横手を拠点として反抗した小野寺配下の横手氏、大和田氏、金沢氏を鎮圧した小野寺輝道が天文23年(1554年)の頃に横手城を築城して本拠を置いたと伝わります。朝倉城といい周囲の最上氏や安東氏などといった大名たちと攻防を繰り広げてきた歴史を持つ城です。

慶長５年(1600年)の関ヶ原の戦いでは当主小野寺義道は当初は東軍に与しましたが、仇敵の最上義光が出羽の東軍旗頭であったため、上杉氏に通じたため西軍と見なされて慶長５年(1601年)に改易となり小野寺氏の統治は終わりを迎えました。以降は最上氏が治めたあと佐竹義宣が秋田に転封になると横手城も佐竹家の所有となります。

佐竹氏と横手城

関ヶ原の戦いによる国替えで小野寺氏に代わり慶長７年(1602年)に常陸５４万石の領主佐竹義宣が秋田藩に入部してから領内南部の重要な拠点として徳川秀忠が発令した一国一城令の例外として取り壊しを免れました。横手城は寛文12年(1672年)に佐竹氏一門の戸村義連が入城してから代々十太夫を称して幕末まで横手を治め、現在の町並みに繋がる城下町が形成しました。

慶応４年(1868年)に始まった戊辰戦争において、薩摩・長州の藩士が指揮する官軍と会津藩に与する奥羽列藩同盟軍との間で戦闘が起こると、久保田藩は最終的に新政府軍について最後の城主戸村大学はこの城に籠もり幕府側の最上藩や庄内藩の藩兵を迎え撃ちます。仙台・庄内などの同盟軍の攻撃によって火の手が上がり落城し明治４年(1871年)に廃城となりました。本丸跡地には明治12年(1879年)に戊辰戦争で戦死した２２人の戦没者を慰めるため焼け残った城の資材を再利用して秋田神社が建立されました。

横手公園の整備

横手城は、横手市街を望む朝倉山の標高１０７メートルにある平山城です。朝倉山を包むように横手川が流れ背後は奥羽山脈に続く要害です。城の普請は石畳を用いないで土居削崖とし土崩れを防ぐ土止めと敵が滑って登ることができないように韮が植えられていました。このため横手城には韮城とも呼ばれます。

敷地は横手公園として整備され、市民や観光客の憩いの場となりました。横手城には本来天守閣はありませんでしたが、昭和40年(1965年)に二の丸跡に天守型の展望台が建てられました。１階から３階までが郷土資料館となっており、横手市にまつわる美術、工芸、陶芸品や歴史的資料を展示され、４階展望室からは広大な横手盆地や雄大な鳥海山など様々な風景を四季を通じて一望することができます。

吉田城跡

横手城の南西にある吉田城跡は、戦国時代末期に小野寺輝道が末子の孫市（陳道）を連れて隠居するために築城されたと言われます。慶長５年(1600年)の関ヶ原の戦いで小野寺氏が改易になると慶長７年(1602年)に佐竹義宣が出羽に移ると吉田城へは茂木監物が城主となりましたが、元和元年(1615年)の一国一城令により茂木氏は横手城に移り吉田城は廃城となりました。

吉田城は主郭と周囲を巡る濠により構成される平城であり主郭の周囲を土塁が巡ります。郭の四隅が突出する井桁状であり隅櫓が四隅に置かれたと考えられます。吉田城は昭和55年(1980年)に秋田県の史跡に指定されました。