伊勢堂岱遺跡

伊勢堂岱遺跡は縄文時代後期の環状列石を主体とする遺跡です。大館能代空港のアクセス道路建設の事前調査で発見され平成8年(1996年)に保存が決定されました。4つの環状列石(ストーンサークル)を中心に配石遺構、掘立柱建物跡、土坑墓、柱穴、溝状遺構などが発掘されています。縄文人の世界観や社会構造を復元できる貴重な遺跡として平成13年(2001年)に国の史跡に指定され、令和3年(2021年)には「北海道・北東北の縄文遺跡群」として世界文化遺産に登録されました。
伊勢堂岱遺跡の概要
伊勢堂岱遺跡は米代川近くの標高45メートルの台地に造られた縄文時代後期の遺跡で広さは20ヘクタールあります。4つの環状列石が隣接しているのが特徴で、このような例は他にはありません。伊勢堂岱遺跡から北を望むと白神山地の山々が眺められます。気高い山々は縄文人にとって崇拝の対象でこの場所は神聖な場所でした。
環状列石AからDまで名付けられています
伊勢堂岱縄文館に細かいジオラマが展示されています
環状列石は亡くなった方や祖先や大自然に祈りを捧げる特別な場所だと考えられています。4つの環状列石は別々のムラが受け持っていたと考えられており、1年のうちの特別な日を決めて人々が集まり力を合わせて石を並べていったと考えられています。4千個以上の石は湯車川、小猿部川、米代川から運ばれました。出土した土器の年代測定から環状列石は親から子へと10世代以上200年もかけて作り続けられたと考えられています。
伊勢堂岱遺跡の出土品
伊勢堂岱遺跡とその周辺の遺跡からは生活に必要な土器などのほかに土偶や祭祀の道具が数多く出土しています。そこには縄文人が抱いた願いや祈りが込められていて、発見された200点以上の土偶は完全な形を留めるものはほとんど無く、怪我や病気の回復を祈るためにわざと一部が壊されています。
完全な形に復元できたのはこれだけです
遺跡からは生活用具の土器も発掘されています
環状列石の下部には死者を埋葬した土壙墓がみられ共同墓地であると考えられています。環状列石からは人骨は見つかっていませんが人骨の成分は検出されており墓であるとともに祭祀や儀礼の空間でもあったと考えられています。
伊勢堂岱遺跡
伊勢堂岱遺跡の環状列石は湯車川沿いの標高40メートルほどの河岸段丘にあります。湯車川は鮭やマスが遡上して捕獲することができ、湯車川から遺跡までの縄文の森と名付けられた後背地はどんぐりの木立で食料が豊富な場所でした。他方で環状列石がある段丘上は花粉の分析結果から現在と同じように視界が開けた場所でした。
どんぐりの木立です
環状列石と掘立柱建物跡があります
環状列石を構成する岩石は、大湯環状列石では石英閃緑玢岩と呼ばれる緑色の石しか使用されていませんが、伊勢堂岱遺跡では赤、青、黄色など20種類の石が使用されています。どちらも同じ時期にできた環状列石ではありますが、地域により考え方が異なることを意味しています。
まち旅(旅行、観光)の記録
まち旅(旅行、観光)するために参考となる情報です。
- 住所
- 〒018-3454 秋田県北秋田市脇神伊勢堂岱
- アクセス
- 秋田内陸線縄文小ヶ田駅から徒歩10分
- 営業時間
- 9:00〜16:30
- 料金
- 無料
- 地図