泉崎横穴

泉崎横穴は、 昭和９年(1934年)に国の史跡に指定されました。

古墳と横穴墓

古墳は盛土で造られた土地の有力者や指導者の墓で、円形の盛土の円墳のほか、円形の丘と方形の突出部で構成される前方後円墳で知られています。このような巨大な陵墓である古墳が造られた３世紀中期から７世紀のことを古墳時代と呼びます。

６世紀に仏教が伝来すると陵墓は古墳から寺院の建立へと変わり、６４６年の薄葬令により人馬の殉葬が禁止されると古墳は小型簡素化されて衰退していきました。大型の古墳ではなく、古墳の遺体を埋葬する横穴式石室に似た横穴墓が造られるようになりました。横穴墓は岩肌が露出した自然の岩盤を刳り抜いて造るため労力が少ないのが特徴と言えます。

泉崎横穴

泉崎横穴は、古墳時代後期の 6 世紀後半から7 世紀初頭に造営されたと考えられている横穴墓です。昭和８年(1933年)の道路工事で偶然に発見されました。横穴墓は当時７つ発見されましたが、その一つである泉崎横穴で赤い顔料で描かれた壁画と副葬品として直刀や刀子、銅環などが出土しています。

泉崎横穴の内部は、遺体を葬る部屋である玄室と玄室に通じる羨道からなり、玄室部分は幅約２メートル、奥行き約２．３メートル、高さ約１．２メートルのドーム型です。白河地方は凝灰岩という比較的加工しやすい岩が地盤である場所が多く、古墳時代の終わりに横穴墓が数多くつくられました。

泉崎横穴の壁画

泉崎横穴は、やや長方形を呈する玄室に東北地方で初めて陵墓内に壁画装飾が発見された横穴墓です。絵画の内容は人物や馬などの動物、渦巻きなどの幾何学模様で、横穴墓の玄室の壁面や天井などに描かれています。このような古墳時代の古墳や横穴墓に描かれた絵画のことを装飾古墳といいます。

福島県にある装飾横穴墓は泉崎横穴のほか、中田横穴、清戸廹横穴、羽山横穴があります。これらの先駆けとして発見された泉崎横穴では年に１回１０月の第２土曜日に一般公開しています。

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