清津峡渓谷

清津峡渓谷は、黒部峡谷（富山県）、大杉谷（三重県）とともに日本三大峡谷の一つに数えられています。魚沼丘陵を貫流する清津川の中流域に位置する柱状節理を形成する石英閃緑ひん岩と緑色凝灰岩が激流に磨かれた渓谷で、その長さは約１２キロにも及びます。昭和16年(1941年)に国の名勝及び天然記念物に指定されています。

清津峡渓谷の形成

清津峡渓谷は柱状節理の岩肌が美しい渓谷です。1600万年前の海底火山の噴火活動で海底に降り積もった火山灰が化学変化により緑色に変色する緑色凝灰岩（グリーンタフ）が形成され、500万年前には緑色凝灰岩の地層に地下からマグマが流入して冷えて固まるときに体積が収縮して柱状節理という構造になりました。のちに海底が隆起して陸地の山となり清津川により削られて柱状節理が谷底が顔を出しました。

清津峡の岩崖は六角形の柱状を束ねたような構造で、岩は硬いですが崩れやすいのが特徴です。このあたりは元禄年間から温泉が湧くことがすでに知られており、文久２年(1862年)に温泉場が造られ、昭和24年(1949年)には温泉街が形成されました。昭和59年(1984年)には大規模な雪崩で多くの死傷者を出し、昭和63年(1988年)には落石事故が発生して歩道の通行が禁止されました。こうした災害を受けて平成８年(1996年)に清津峡渓谷トンネルが開坑しています。

清津峡渓谷

清津峡渓谷の全長７５０メートルのトンネルは、昭和63年(1988年)の落石事故を受けて平成８年(1996年)に誕生しました。様々なライトに照られたアート作品のようなトンネルで３か所の見晴所とパノラマステーションから素晴らしい峡谷美を堪能することができます。

第一見晴所はシンプルなトンネルの構造をそのままに奥から柱状節理の岩肌を間近に見ることができます。その先の第二見晴所からはアートを感じる見晴所が続きます。第二見晴所は白と黒のストライプの中にメタリックなトイレが設置されていて、その先に自然の造形美が背景として現れます。

球状の鏡にライトが点灯されたてんとう虫のようなアートの第三見晴所を過ぎると、清津峡渓谷トンネル最奥にあるパノラマステーションに到達します。パノラマステーションは沢水が一面に浸されて床が水鏡となり、峡谷の景色が映り込む美しいフォトジェニックなサイトになっています。

パノラマステーションからは清津峡の深いＶ字型の渓谷と透明度の高いエメラルドグリーンの清津川が眺められ、自然が作り出した風景が眼下に広がります。長い年月で浸食された渓谷が美しいです。

田代の七ツ釜(弁天滝)

国の名勝・天然記念物に指定されているこの田代の七ツ釜は、苗場山系から流れ出る釜川の渓流に点在する七つの滝つぼで、右岸が断面層、左岸が切り立った縦層という学術的にも大変珍しい景観です。その昔魚を捕るのは一網だけという弁天様との約束を破り二度目の投網した男が滝つぼの主である大蛇の怒りを買い命を失った七ツ釜伝説が残ります。

田代の七ツ釜は上流から弁天滝、二の滝、不動滝、中の滝、巻の滝、観音滝、御手洗滝がありますが、平成７年(1995年)の土砂災害により１番滝が崩壊しました。平成９年(1997年)に全国初の擬岩による砂防ダムが完成して崩壊前の滝に近い形で復元されました。田代の七ツ釜は、昭和12年(1937年)に国の名勝及び天然記念物に指定されました。

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