祖谷渓と大歩危小歩危

祖谷渓は、吉野川支流の祖谷川に約10キロにわたり深いV字谷を刻む景勝地で、剣山国定公園に含まれます。かつてこの深い谷に平家落人の落人が逃れ住んだと伝えられています。祖谷渓は四国一の吉野川の支流である祖谷川の上流にあり、四国山地の最も奥深いところで日本三大秘境の一つに数えられます。
奥祖谷二重かずら橋
四国山地の奥深いところにある奥祖谷二重かずら橋は、平家一族が剣山の平家の馬場に通うために架けられたと云われます。男橋と女橋の二本あり、総称して夫婦橋とも呼ばれます。かずら橋とは、シラクチカズラ(サルナシ)を使う昔ながらの吊り橋で、奥祖谷のかずら橋は昭和30年(1955年)に国の重要有形民俗文化財に指定されています。
風情ある入口でここを下ると橋があります
シラクチカズラで作られた昔ながらの橋です
祖谷渓の人々は痩せた山の斜面で蕎麦やたばこ、麦などを栽培してきました。村での生活は過酷を極め、明治時代以降は長年住み慣れた村を多くの人が離れたようです。村の人々は、3年に1度、耶馬渓に雪が積もる前に橋を架け替えます。シラクチカズラは火で炙ればしなやかになり虫も寄り付かないため、橋の製作に必要な約6トンもの大量のシラクチカズラを近くの山から採集します。
現在はワイヤーで補強されています
渓谷からの高さは15メートルほどあります
かずら橋は今では観光用資源として利用されていますが、大正10年(1921年)までは村と村を結ぶ生活の橋として利用されてきました。透明度が高い祖谷川の上に架けられたかずら橋は高さ15メートルあり、足元の隙間から渓流を眺めることができ、歩くたびに軋む音は適度なスリルを感じます。かずら橋は、厳しい山国で暮らす人々の知恵と苦労の象徴とも言えます。
大歩危小歩危
大歩危小歩危は、2億年かけて四国山地を横切る吉野川の激流により浸食された約8キロメートルにわたる渓谷です。歩危とは断崖を意味する古語ほき(ほけ)から名付けられたと言われ、大理石の彫刻がそそり立つような美しい景観が特徴的です。
透き通るような清流が流れます
昔少年たちが断崖で度胸を試しました
大歩危峡のシンボルとして高低差200メートルの断崖絶壁に小便小僧が設置されています。その昔、地元の子どもたちが岩端で度胸試しをしたことに因み、昭和43年(1968年)に設置されました。大歩危は平成26年(2014年)に国指定天然記念物となり、平成27年(2015年)に国の名勝に指定されました。さらに平成30年(2018年)に国の名勝に小歩危が追加登録され、大歩危小歩危で登録されました。
大歩危小歩危の断崖
祖谷から大歩危小歩危の断崖には関東から九州まで日本列島を縦断して分布する三波川変成岩が見られます。三波川変成岩は、海洋プレートに沈み込んだ土砂などが地中深くに押し込まれて再結晶したもので、それが地殻変動により大陸に隆起して浸食されたものです。三波川変成岩は徳島では阿波の青石と呼ばれ、徳島城の石垣にも使用されています。
緑がかった水の色です
綺麗な水が流れる景観は綺麗です
この周辺の岩肌には、柱状節理と呼ばれる柱のように立ち上がる割れ目が見受けられます。その傾斜角はおよそ45度傾いていますが、大歩危と小歩危では傾きが正反対になるのが特徴的です。これらの岩肌は美しい景観を生みますが、一方で祖谷から大歩危小歩危のあたりは日本有数の地滑り地帯と言われ、破砕帯と呼ばれる脆い地層の上に住む人々は、家が傾くなど生活で悩まされていたようです。
まち旅(旅行、観光)の記録
まち旅(旅行、観光)するために参考となる情報です。
- 住所
- 徳島県三好市
- アクセス
- JR大歩危駅より四国交通バス(久保行き)→久保バス停で乗り換え→三好市営バス(剣山行き)乗車→奥祖谷二重かずら橋バス停下車すぐ
- 営業時間
- 9:00~17:00(9月~6月、12~3月は閉鎖)
8:00~18:00(7月~8月) - 料金
- 550円
- 地図