普天満宮
普天満宮は沖縄県宜野湾市で唯一の神社で、琉球古神道神と熊野権現を祀る琉球八社の一つです。沖縄県中部最大の聖地として琉球王国時代は国王が参拝しています。境内には普天満宮洞穴と呼ばれる全長約280メートルの横穴洞穴があり、普天満宮の奥宮が遷座しています。洞穴からは化石類や土器が発見されており、宜野湾市の名勝に指定されています。
普天満宮の縁起
普天満宮は普天満権現とも呼ばれる琉球八社の一つです。普天間の洞穴に琉球古神が祀られたことに始まり、15世紀の琉球国王である尚金福から尚泰久王の時代に熊野権現を合祀しています。
地域に密着した神社です
琉球八社の一つに数えられます
太平洋戦争末期の昭和20年(1945年)の沖縄戦では、社掌がご神体を護持して本島南部の糸満に避難しました。戦後に普天満宮は米軍の敷地となり、社掌の出身地である具志川村(現うるま市)に仮宮を造り安置されました。昭和24年(1949年)に敷地が開放されると、ご神体も現在の敷地に安置されました。
普天満女神の伝説
琉球王国が1743~45年にかけて編纂した遺老説伝(琉球王府の説話集)には普天満宮の縁起にかかる女神伝説の逸話が残されます。首里桃原に2人の仲の良い姉妹がおり、姉は気立てが良く美しい女性でしたが、他人に顔を見られることを大変嫌がり家から出ることはありませんでした。やがて妹が結婚して家を出ると、妹の夫は姉の顔を見てみたいと思うようになり、妹が実家に帰省したときに密かに姉の姿を見てしまいました。のぞき見されたことに気づいた姉は、家を飛び出して山森を越え、ついに普天満宮の鍾乳洞穴に吸い込まれるように姿を消しました。これ以来、姉は普天満宮の永遠の女神となりました。
女神伝説が屏風画に描かれています
普天満宮洞穴には美しい神様が祀られています
沖縄の宗教的な文化にはウナイ信仰があり、沖縄では女性が男性たちを守る大きな役割があるという考え方があります。例えば、琉球王国の聞得大君という琉球神道における最高神女(ノロ)は、男性である国王を助けるため琉球王国全土を霊的に守護するとされます。また民間の生活の中にはユタと呼ばれる神女がおり、歩き巫女として人びとを占いなどで導く存在でした。沖縄県は神社が少なく、ノロやユタの拝所が各地に残されているのも民俗文化の特徴と言えると思います。
普天満宮洞穴
普天満宮洞穴は、琉球石灰岩層に形成された全長およそ280メートルの東西に広がる横穴洞穴です。天井の高さは4~6メートル、幅は1~3メートルあります。洞穴の入口付近には数万年前に絶滅したシカ類を含む厚い化石層があり、リュウキュウジカやリュウウキュウムカシキョンの化石が200頭以上も発掘されています。また、洞穴内にも化石は散乱しており土器も発見されています。
無人のカウンターで名前を記入します
待合室隣の通路の奥に洞穴の入口があります
洞穴の見学は20分間隔で行われています。拝殿の隣の部屋で受付して待合スペースで待つと巫女さんが案内してくれます。内部は霊域に当たるため飲食、撮影などはできません。見学時間は30分以内で、見学が終われば各自退出します。沖縄県では洞窟の中に神が宿るとされており、洞穴の中には普天間女神、火の神(ヒヌカン)のほか、沖縄県や鹿児島県奄美群島の各地に伝わる理想郷ニライカナイの神様の3神が祀られています。鍾乳石が連なり静かで涼しい厳かな空間は、宜野湾市の名勝に指定されています。
- 住所
- 〒901-2202 沖縄県宜野湾市普天間1丁目27−10
- アクセス
- バス(系統23番)で普天間下車、徒歩3分
- 営業時間
- 7:00~19:00(洞穴拝観は10:00~17:00)
- 料金
- 参拝無料
- 地図