喜友名泉と喜友名石獅子群
米軍基地(キャンプ瑞慶覧)の近くにある喜友名集落には喜友名泉と石獅子群が残されています。米軍基地の敷地内にはグスク時代の遺跡や貝塚、水田跡などが残り人々が生活していた痕跡があります。
喜友名泉
喜友名泉(チュンナーガー)は米軍基地(キャンプ瑞慶覧)にある喜友名集落の共同湧泉です。国道沿いに喜友名泉の表札と湧水が流れますが、これではなく坂道を下ったところにあります。喜友名泉の入口にはフェンスに鍵が掛けられているため内部に入ることはできません。
喜友名にある湧泉は7つあり喜友名七泉と言われます。アカンナー・ミーガー・ヒージャーガー・ヤマガー・バシガー・ウフガー・カーグゥーがありますが、このうちウフガーとカーグゥーは喜友名泉と呼ばれ、集落の簡易水源として大切に保管され平成4年に国の有形文化財に指定されました。
- ウフガー
- 同じ高さの石を水平に揃えて積み上げた布積みの石垣で囲まれます。子供が生まれた時の産湯や部落の節々の拝みなど人生の折り目で使われてきました。
- カーグゥー
- 水平に揃えられた布積みと石の自然な形を利用して積み上げられた相方積みが併用された石垣で囲われています。日々の飲料水や洗濯に使用されてきました。
喜友名泉は男の泉ウフガー(イキガガー)と女の泉カーグゥー(イナグガー)があり、それぞれ周囲を石垣で囲われています。どのような干ばつでも枯れることが無い豊富な湧泉で人々の生活に欠かせないものでした。
国道沿いにある湧水です
喜友名泉に纏わる琉歌が刻まれています
喜友名泉にまつわる琉歌の碑がありました。
「ちゅんな村娘や ないぶさや あしが ちゅんなかーびらぬ 坂の高さ」
喜友名泉は、喜友名集落から遠く離れた険しい斜面の下方に水源があったため、急斜面の坂道を上り下りして生活用水を確保するのはとても重労働でした。そのため、他部落の娘が喜友名の嫁に行きたくても親兄弟に反対されたという逸話も残ります。
喜友名石獅子群
喜友名集落には七つの石獅子が集落を取り囲むように置かれています。この石獅子は部落や敷地内に他から厄や忌み嫌われるものが入らないように「反し(ケーシ)」として「ヤナムンゲーシ、アシゲーシ」と呼ばれています。焼き物のシーサーとは違い琉球石灰岩で作られた獅子は表情豊かです。
喜友名石獅子群の解説があります
人々が集まる憩いの場にありました
メートーヤマ前のシーサーは、ウィユクイビラと呼ばれているところにありました。ウィユクイビラは喜友名泉(チュンナーガー)から集落までの道の途中にある休み場所の一つでした。夕方になると集落の男女が集まる憩いの場でした。
仲元家の裏の空き地にありました
もともとは違う場所にありました
ナカムトゥ前のシーサーは仲元家の前にあるシーサーということみたいです。仲元家の玄関近くの台座に安置されています。メントー前のシーサーは普天間基地の近くにあります。別なところから現在の場所に移動されましたが、風化が進んでいて岩にしか見えません。
もはや岩としか思えません
比較的保存状態が良く目と口が分かります
メーマシチ前のシーサーは普天間基地のフェンス工事で現在の場所に安置されました。メーマシチ前のシーサーは風化が激しくて顔があまり分かりませんが、クラニーグァー前のシーサーは目と口が分かります。
家屋の塀の上にあります
一番原型を留めているシーサーだと思います
7体ある喜友名の石獅子群の中で一番原型を留めているのがトゥクイリーグァー前のシーサーだと思います。これら喜友名の石獅子群は宜野湾市の有形民俗文化財に指定されています。
- 住所
- 〒901-2222 沖縄県宜野湾市喜友名西原1607
- アクセス
- バスで「喜友名」下車、徒歩5分
- 営業時間
- 特になし
- 料金
- 無料
- 地図