デニズリ

デニズリはトルコ南西部にあるデニズリ県の県都で、繊維産業や農業が盛んな地域です。緑豊かな渓谷に囲まれた肥沃な土地が広がり、温泉がいくつも湧き上がることから夏の観光地として人気があります。1988年にヒエラポリス=パムッカレが世界遺産に登録されています。
概要
- 面積
- 11,870km2
- 標高
- 324m
- 人口
- 102.8万 (2012年)
- 地図
歴史
アッタロス朝ペルガモン王国エウメネス2世が建設したヒエラポリスは、ローマ時代にパムッカレなどの温泉保養地として繁栄しました。ヒエラポリスは羊毛や織物産業が生まれ、十二使徒のひとり聖フィリポが処刑されると巡礼地のひとつとなりました。
ヒエラポリスの建設
紀元前262年にセレウコス朝シリアから独立したエウメネス1世は、初代アッタロス1世としてアッタロス朝ペルガモン王国を建国しました。紀元前190年にペルガモン王国エウメネス2世はヒエラポリスを建設しました。

ヒエラポリス
聖なる都市という意味で、ビザンツ時代までの長い期間繁栄して最盛期は10万人が住みました。地震で何度も大きな被害を受けながらも復興しました。

ネクロポリス
ヒエラポリスの外にある死者の町の意味がある墓所で、ヘレニズム時代からローマ時代にかけて様式が異なる墓地が形成されています。
パムッカレとローマ時代
紀元前133年にペルガモン王国アッタロス3世が国土をローマに献上してローマの属州となり、ヒエラポリスは帝国の温泉保養地として繁栄しました。ヒエラポリスは羊毛や織物産業が生まれ交易都市としての役割も果たすようになり、80年代に十二使徒のひとりフィリポが処刑されるとキリスト教の巡礼地となりました。17年や60年の大地震で被害を受けると、ローマ皇帝ハドリアヌスが大規模な都市を再建してセプティミウス・セウェルスが改築しました。

パムッカレ
雪のように白い石灰棚が広がる景勝地で綿の城と呼ばれます。弱酸性の雨水が炭酸カルシウムの溶液となり、地熱で温められて温泉として流れ出して石灰の棚田を形成しました。

ローマ劇場
ヒエラポリスにある1万人以上が収容できたとされる円形劇場で、ハドリアヌス帝が工事を始めセプティミウス・セウェルス帝が完成させました。

聖フィリポのマルティリウム
イエスの十二使徒のひとりであるフィリポが、ローマ皇帝ドミティアヌスの命で逆さ十字に張り付けられて処刑されたと伝わる場所です。

アンティーク・プール
クレオパトラが入浴したと伝わる温泉で、692年の大地震で温泉が破壊されて湯が遺跡に流れ込んで遺跡プールが誕生しました。
ルーム・セルジューク朝
イスラム勢力のセルジューク朝は、ビザンツ帝国に侵攻するようになりました。1071年のマンジケルトの戦いで勝利したセルジューク朝はトルコ全域を支配し、ルーム・セルジューク朝となりました。ヒエラポリスは衰退をはじめ、1354年の大地震で都市は崩壊して廃墟となりました。