ブータンで触れた文化
ブータンの首都ティンプーの郊外に住んでいる一家に体験宿泊をさせてもらいました。宿泊するにあたり、町でブータンの民族衣装を購入してガイドさんから着付けてもらいました。1日だけではありますが、ブータンの伝統的家屋に一泊する中で会話や食事、伝統的な風呂に入る貴重な体験をさせてもらいました。
ブータンの伝統衣装
ブータンの伝統衣装は、男性用はゴ、女性用はキラと呼びます。どちらも生地がしっかりしていて厚みがあります。ガイドさんが言うには、厚手の生地を着こなすことで夏は涼しく、冬は暖かい衣装となり快適に過ごせるようです。男性用の衣装ゴは日本の着物によく似ている帯で結ぶタイプで、スカートのような感じです。キラは3枚布を縫い合わせた布地を斜めに巻きつけて着るものです。肩口でコマと呼ばれるブローチで布を止めます。ロングスカートのような衣装で男性用と同じく腕まくりした感じです。ブータンの人は寺院を参拝するときに布をたすき掛けで巻いています。布の色で仏教界の階級を示しているようです。
男性用民族伝統衣装「ゴ」
日本の着物によく似ている帯で結ぶ衣装で、腕の部分は捲り上げ、足元はスカートのような感じです。
女性用民族伝統衣装「キラ」
3枚布を縫い合わせた布地を斜めに巻きつけるロングスカートのような衣装で、肩口をコマと呼ばれるブローチで布を止めています。
ブータンの伝統家屋
宿泊させてもらう家屋はティンプー郊外の田んぼの中にあり、ブータンの中でも比較的裕福な家庭のようです。木材と土壁で造られたブータン伝統家屋は、1階が家畜の飼育部屋、2階が台所やトイレなどの生活する部屋、3階が仏間や客室などで4階が食料などの倉庫でした。宿泊先に向かう途中に新築中の家屋がありましたが、女性たちが歌を歌いながら土壁を踏み固めていました。1階で家畜が飼われているのも理由があり、家畜の熱が2階に伝わることで暖かく過ごすことができるそうです。
ブータンの民家
田畑が広がる長閑な集落にある家屋に宿泊させてもらいましたが、ブータンの中でも比較的裕福な家庭のようです。
ブータンの民家
1階が家畜の飼育部屋、2階が台所やトイレなどの生活する部屋、3階が仏間や客室などで4階が食料などの倉庫でした。
部屋とおもてなし
私たちは客人として3階にある仏間に案内されました。仏間は室内全部が黄色で装飾されていて仏壇も大きく綺麗です。仏壇にはお金がお供えされていましたが少し不用心かもしれません。おそらく人を疑わないブータン人の性格そのもので、この辺りからも平和なところが伺えます。娘さんが米と砂糖を使う菓子とバター茶を運んできました。炒った米とそれに砂糖をまぶしたようなものなど3種類のお菓子でブータンのスナック菓子のような感じです。お嬢さんに少し話かけてみましたがシャイで話が弾みませんでした。
ブータンの民家の仏間
仏間は室内全部が黄色で装飾されていて仏壇も大きいです。仏間は絢爛豪華なため、来客を迎える部屋として使われます。
おもてなし
炒った米とそれに砂糖をまぶしたようなものなど3種類のお菓子でブータンのスナック菓子のような感じです。
ホームステイ先の家族
ホームステイ先の家族構成はお爺さん、お婆さん、息子1人、娘2人、娘の子3人でした。娘の旦那さんはそれぞれ他の街で仕事をしているそうで会うことはありませんでした。お爺さんやお婆さんは英語を話してくれませんが、息子と娘2人は流暢な英語で話をしてくれました。娘さんはあまり会話してくれませんでしたが、兄弟は数学と英語の先生とのことでした。ブータンのテレビは1チャンネルしかなく、放送される時間帯が限られているようです。この時間はブータンで大人気のスター発掘のようなオーディション番組で、日本ののど自慢大会に近い感じでした。
ブータン民家の居間
居間ではストーブで食事を作りながら、子供たちがテレビを見たりしていました。昭和時代の日本の民家のような温かい雰囲気です。
ブータン民家の子供たち
子供たちは仲良く遊んでいました。私たち外国人に興味津々でしたが、テレビ番組が始まるとテレビに見入っていました。
ブータンの食事
ブータンの一般的な食事は米を基本に野菜の炒め物などが添えられる素朴な感じです。大きな鍋で炊いたご飯が配られ、唐辛子を使うエマダツィ、ポテトとチーズを和えた料理が床に置かれました。お爺さんとお婆さんとガイドと一緒に食事しましたが、私たちにはスプーンが用意されたのに対して皆さんは素手で食べていました。折角なので素手で食事してみましたが、米を握り固めてエマダツィと一緒に食べると、スプーンで食べるより美味しい気がしました。朝食はご飯にエマダツィと卵焼きが出てきました。ブータンでは唐辛子は野菜であり、チーズと和えることでピリ辛でクリーミーな味わいに仕上げます。このピリ辛がご飯とよく合い、大盛のご飯もペロリと食べられます。毎日こうした食事をとるブータンの人たちはメタボになることも無さそうです。
ブータン民家の夕食
一般家庭の夕飯は、ご飯、エマダチ、ポテトのチーズ和えを食べました。ご飯を手で丸めて食べるのがブータン流です。
ブータン民家の朝食
一般家庭では、ご飯に卵焼きが乗せられ、唐辛子のチーズ和えであるエマダチが添えられます。
ブータンの風呂
ブータンの人たちは、一般的に川で汲んだ水で身体を洗うようです。今回は3000円程度のオプションでブータンの風呂を体験してみました。川で汲んだ水を湯舟にためて、息子さんが焼いた石を湯船に入れて熱くしていきます。大変な重労働で、私たちが使用した後はご家族が風呂を使用するそうです。入浴中にガイドがブータンの焼酎アラを持ってきました。卵とバターを入れたゴンド・アラで、客をもてなすときに作られるものです。風呂で飲むアラは酔いが回りましたが、湯上がり後に息子さんから薦められたブータンワインも美味しく頂きました。
ブータンの風呂
ブータンの人たちは川の水で身体を洗う程度です。今回は川で汲んだ水を湯舟に入れて、焼いて赤くなった石を湯舟に入れて適温にしてくれました。
ブータンの風呂
木製の湯舟の端に焼いた石を何個も入れて熱くしています。ガイドはいたずらで石を追加し、熱い風呂に浸かりながら焼酎アラを飲ませて酔わせました。
ブータンの国技ダツェ
民家の近くでは、ブータンの伝統的弓術で国技でもあるダツェが行われていました。ダツェは5人1組の3チームに分かれて2名ずつ矢を放ち的を射抜く競技で、的に当てた数で勝敗を決めます。ダツェはブータンでとても人気があるスポーツで、あちこちで大会が開催されているそうです。試合になると朝から1日掛かりが一般的で、翌日に繰り越すこともあるそうです。
ダツェ
的までの距離は130メートル先にあるため的が遠すぎて全く見えません。ブータンの人たちは視力が高いようです。
ダツェ
日本の弓道のようなもので、矢は先端が尖り刺さるようになっています。
ノルジン・ラム通り
ティンプーの繁華街であるノルジン・ラム通りにはホテルやショップなどがあります。ブータンは切手作りが盛んで、中にはCDの切手なるものなどもあります。これが欲しくてガイドさんに相談すると郵便局に案内されました。郵便局では撮影した写真をプリンタで印刷してオリジナルの切手にしてくれます。中心部から外れた道沿いには、ブータンの伝統工芸品を扱う小さなショップが並んでいます。
ノルジン・ラム通り
ティンプーの郊外にはブータンの伝統工芸品を扱う小さなショップが並んでいました。
ブータン店舗の店員
ほとんどの店員は商売気がなく外で談笑しており、店内には可愛らしい子供が店番をしていました。