リマ

ペルーの首都リマは、チャラと呼ばれる海岸砂漠地帯に属しているため、年間の降水量はほとんどありません。カテドラル(教会)があるアルマス(マヨール)広場を中心に発達し、古い町並みが旧市街(セントロ)と近代都市風なところが新市街(ミラフローレス)に分かれます。
概要
- 面積
- 2,672.3km2
- 標高
- 0~1,548m
- 人口
- 1,035万 (2018年)
- 地図
歴史
ペルーの首都リマは、インカ帝国を滅亡に追い込んだスペイン人たちにより首都として整備されました。スペイン人たちはインディオを奴隷のように扱い、インカ帝国の金銀財宝やポトシ銀山で採掘された銀をリマから本国スペインへと送りました。ペルーはスペインから独立を果たしてからも経済破綻するなど不安定な情勢が続きましたが、近年は観光都市として発展を遂げました。
プレインカ時代
紀元前200年から600年のリマ文化、600年~1000年にワリ文化と続き、イチマ族が1100年頃からイチマ文化を形成しました。イチマ族はペルーの創造神パチャカマックが祀られる寺院を拡張し、宗教的かつ政治的な中心地としました。イチマ文化は記録があまり残されていませんが、高度な灌漑システムを開発して安定的に農業を行い、こうした技術がインカ帝国へと受け継がれました。
スペインによるリマの建設
1533年にインカ帝国の首都クスコを征服したフランシスコ・ピサロは、1535年に本国スペインとの交易の利便性を考慮してリマに首都を置きました。王の都市を意味するシウダー・デ・ロス・レイエスと名付けられた都市は、南アメリカ大陸における重要な政治・経済の中心地として繁栄しました。スペインはペルー副王として統治を進め、インカ帝国の金銀を延べ棒にして本国に送り、インディオたちにポトシ銀山や織物工場で労働させるミタ労働を強要しました。

アルマス広場
スペイン人たちはアルマス(マヨール)広場を中心に町を建造しました。アルマス広場周辺はスペインコロニー時代の建物が多く大聖堂や政府機関などが建てられています。

リマ大聖堂
インカ帝国シンチ・プマ王子の宮殿に建てられたカトリックの布教の中心地で、地震で倒壊したため1746年にバロック様式とネオクラシック様式に建替えられました。
トゥパク=アマルの反乱
強制的な労働で不満を募らせたインディオは、1780年に売上税のアルカパラ税やミタ労働などの廃止を求めて反乱を起こしました。代官を絞首刑にしたあと織物工場を襲撃した反乱は全国に広がりリマやクスコに迫る勢いを見せて独立を目指しましたが、態勢を立て直したスペインにより鎮圧されました。
ペルーの独立
ラテンアメリカで独立の機運が高まると、1821年にサン=マルティンの指導で呼応した人びとはリマに入りスペインからの独立を達成しました。スペイン系王党派のペルー副王軍はクスコなどの山間部で建て直しを進めていたため、サン=マルティンは北部のシモン=ボリバルと会談して対応を協議しますが、独立後の体制の在り方で折り合いがつきませんでした。サン=マルティンはアルゼンチンに戻り、1824年にシモン=ボリバルは解放軍を率いてペルー副王軍をアヤクチョで破りペルー独立を確たるものにしました。

政府宮殿
フランシスコ・ピサロがインカ皇帝の住居に建設した宮殿で、現在はペルーの国会議事堂とペルー大統領官邸として使用されます。毎日正午に衛兵の交代式が行われています。

サン=マルティン広場
リマ旧市街(セントロ)にある独立百周年を記念した広場で、ペルー独立運動に貢献したペルーの英雄サン=マルティン将軍の騎馬像があります。
太平洋戦争
1879年に硝石の産地を巡りチリが領有権を主張してペルーとボリビアに宣戦布告しました。チリ海軍は制海権を奪い有利に戦いを進め、ペルー・ボリビア連合軍はチリに敗れました。ペルーは硝石の産地をチリに譲渡しました。
ペルー革命
1968年にクーデターを起こしたベラスコ将軍は、軍政を敷いて社会主義的な改革を進めました。アメリカ系石油企業の国有化、農地改革、労働者の経営参加などを行いました。1980年に民政に移行しましたが債務危機を脱却できず経済破綻を起こし、ゲリラ組織ソンデロ=ルミノソが苛烈なテロ活動を起こして国内は混乱しました。
日本人の移住とフジモリ大統領
ペルーはブラジルに次いで日系人が多く、1899年から日本人の移住が始まりました。当初は契約移民として農場で働くために渡航しましたが、その後も親族を呼び寄せて移住は継続されました。1990年の大統領選挙で当選した日系アルベルト=フジモリは、債務返済を優先した緊縮財政を行うとともにゲリラを鎮圧して国内を安定化させました。フジモリ大統領は軍の協力を得て議会を解散させる強硬策に出ますが、1996年にゲリラ組織トゥパク=アマルの革命運動により日本大使館占拠事件が発生しました。

天野博物館
戦後まもなくリマに移住したリマ名誉市民でもある天野芳太郎氏が収集したインカ、プレインカ時代の土器や織物などが展示されている小さな博物館です。

黄金博物館
ペルーの大富豪が税金対策として設立した博物館で、インカ時代の黄金の仮面などのほか日本刀などの世界の武器が展示されています。