伝統的な修行僧の托鉢風景

仏教国ラオスの各地では修行僧が毎朝托鉢を行います。世界遺産に認定されているルアンプラバンでも伝統的な托鉢が続いており、地元の人たちは僧侶に対して主食のもち米を少しづつ分け与えます。ルアンプラバンを訪れる観光客は僧侶の托鉢風景を見学するだけでなく、僧侶に対して焚きたての米を供養することができます。
ラオスの仏教伝来と普及
1353年にファーグム王がラーンサーン王国を建国して、クメール王朝からスリランカを起源とするパバーン仏とともに上座部仏教が伝えられたことでラオス仏教は始まりました。1520年にボーテイサーラート王がタイのチェンマイから経典を取り寄せて仏教信仰が盛んになりました。1558年にセーターテイラート王がチェンマイからエメラルド仏を迎えると、ラーンサーン王国を象徴する仏像として信仰を集めました。1778年のシャムの侵攻でエメラルド仏は持ち去られますが、ラオス王国が建国されてからも信奉され、1947年に仏教が国教に指定されました。

パバーン仏の祠
クメール王朝から贈られたスリランカを起源とするパバーン仏とともに上座部仏教が伝えられました。ルアンプラバンにはパバーン仏が祀られています。

エメラルド仏
チェンマイからエメラルド仏を招来してラーンサーン王国を象徴する仏像として信仰を集めましたが、1778年のシャムの侵攻により持ち去られました。
上座部仏教と托鉢
ラオスは敬虔な上座部仏教国となり、古くからの伝統が受け継がれました。上座部仏教では僧侶は施しだけで修行を行い、人は施しにより功徳を積むことができるとされます。ルアンプラバンは仏教寺院が多くあり、修行僧は托鉢を行うことで修行に打ち込み、地元の人たちは修行僧に食料を施して功徳を積む構図ができています。

托鉢風景
僧侶は一般の人から施しを受けて寺院で修行することで功徳を積み、一般の人たちは僧侶に食料を布施することで功徳を積む構図が伝統として続けられています。

托鉢風景
ルアンプラバンの托鉢は東南アジア諸国の中でも最大規模であり、現在でも早朝に修行僧が托鉢する伝統が受け継がれています。
ルアンプラバンの托鉢風景
古都ルアンプラバンのメインストリートであるサッカリン通りでは、早朝5時から修行僧たちによる托鉢が行われています。サッカリン通りには多くの寺院があり、早朝の通りには炊き立ての米や花を販売する人がいます。観光客は米や花を購入して托鉢する僧侶に施すことができます。

サッカラン通り
サッカラン通りでは早朝から道路の真ん中で炊いた米を売る人がいます。観光客は米を購入して托鉢する僧侶に施すことができます。

托鉢風景
薄暗い早朝に地元の人たちは沿道に腰掛けて寺院から修行僧が出て来るのを待ちます。こうした伝統的な風習が守り続けられています。
伝統として続く托鉢
托鉢を行う若い僧侶たちは、寺院ごとに一列になり通りを歩いていきます。修行僧のほとんどは小学生から中学生くらいの青年で、素足にオレンジ色の衣をまとう姿で托鉢用の鉢を持ち歩きます。人びとはご飯をひとつまみして、長い行列の僧侶一人ずつに米を施していきます。

托鉢風景
若い僧侶たちが寺院ごとに一列になり寺院から出てきます。地元の人は毎日早起きをしてもち米を炊いて托鉢する僧侶に施しを行うことで功徳を得ます。

托鉢風景
修行僧は小学生から中学生くらいの青年で、全員が素足に朱色のオレンジ色の衣をまとう簡素な姿で、托鉢用の鉢に米を施してもらいます。