山梨県の料理
山に囲まれている内陸の山梨県は、米が収穫される水田がごく一部の平地に限られているため、山麓部や丘陵地などで栽培される麦や雑穀、そばなどが生産されて粉食文化が定着しました。内陸型気候のため一日の気温差が大きく年間の降水量も少ないため、古くから甲斐八珍果と呼ばれるさくらんぼ、柿、りんご、梅など多種多様な果実が生産されています。
山梨県の郷土料理
ほうとう
幅広に切った小麦粉の平麺をかぼちゃや里芋、人参などと味噌仕立てのつゆで煮こんだ料理です。
せいだのたまじ
上野原市にある棡原地域に古くから伝承されているじゃがいもを味噌味で煮ころがしにした料理です。
みみ
小麦粉をこねて伸ばして一口大の三角形にした生地を野菜とともに味噌味で煮こんだほうとうに似た料理です。
甘納豆のお赤飯
赤い色は邪気を払う厄除けの効果があると信じられており、祝いの日に甘納豆を入れて炊いた赤飯が食べられました。
あわびの煮貝
あわびを醤油で煮こんだ料理で、江戸時代に伊豆で獲れたあわびを甲斐国に運ぶ長旅で味が染み込んで絶品となりました。
鳥もつ煮
戦後の食糧難に捨てられていた鶏モツを活用するため、蕎麦屋奥藤本店の店主が鶏モツを醤油と砂糖で煮漬けた料理を考案しました。
めまき
ワカサギなどの魚を乾燥昆布(アラメ)で巻いて醤油や砂糖などで煮込んだ料理で、富士登山者が安全祈願として携行食としました。
小豆ほうとう
小豆を使用したほうとうで、あずきの赤い色が邪気を祓う伝承にちなみ、地域行事や祝い事の席で食べられてきました。
おざら
夏の暑い時期に、ほうとうより細い冷やしためんを温かい醤油ベースのつゆに入れて食べる料理です。
甲州小梅漬
山梨県の特産である甲州小梅を赤しそや塩などで漬けこんだ保存食で、カリカリした触感が特徴的です。
枯露柿
枯露柿は甲州市や南アルプス市などで収穫される大きめの柿で、あめ色になるまで干した干し柿として食べられています。
吉田うどん
富士吉田市周辺の郷土料理で、太さのある小麦粉の麺を味噌や醤油などで味付けされた出汁とともに食べます。
さんまめし
旬のサンマと新米を一緒に炊きあげた料理で、収穫を終えた農家のご馳走として振る舞われていました。
やこめ
豊穣を祈る神事行事で食されていたもので、もち米やうるち米と煎った大豆と塩を入れて炊いた料理です。
あけぼの大豆の枝豆
幻の大豆と呼ばれたあけぼの大豆は、豆腐や味噌のほか、コロッケや納豆などにも加工されて食されています。
あんびん
さつまいもの粉や小麦粉、角切りのさつまいもを練った生地に、あんを包み平らにして蒸した郷土菓子です。
いもがら入り太巻き寿司
いもがらは芋茎部分を干した保存食で、水で戻して酢の物や煮物などで食されました。冠婚葬祭では、いもがらを甘辛く煮て巻き寿司としていました。
うすやき
水で溶いた小麦粉に大葉や豆などの具材を入れて焼いた薄焼きで、おやつや農作業の合間の軽食として食べられました。
おしゃかこごり
砂糖を入れた小麦粉に煎った大豆などを加えて丸めた団子で、4月8日の釈迦の誕生日に食されていました。
おばく
麦にじゃがいも、さつまいも、大根、里芋などの野菜類やあずきや金時豆などの豆類などを入れ、水で柔らかめに炊いた料理です。
うらじろまんじゅう
オヤマボクチの葉を練りこんだ生地であんこを包んだ郷土菓子です。
かつ丼
山梨県のかつ丼は、ご飯に千切りのキャベツが乗り、その上に揚げたてのとんかつが乗せられます。味付けはたっぷりのソースです。
茂倉瓜の冷や汁
早川町茂倉地域で栽培されてきた茂倉瓜を千切りにして、冷たいだし汁に味噌や薬味を加えてご飯にかける料理です。
じゃがいもとひじきの煮物
富士山信仰で訪れる人たちに富士登山の安全と無事を祈願して提供されるようになり、現在も富士山の山開きの日に食べられているようです。
月の雫
山梨県の特産である甲州ぶどうの粒に砂糖を練り上げた白い蜜でコーティングした菓子です。
馬刺し
富士山の信仰登山で荷揚げに馬を使用していたことから、新鮮な馬肉を使用した料理が広まりました。
夕顔のみそ汁
夏の富士北麓地域で食べられている味噌汁で、北アフリカやインドが原産のひょうたん型をした夕顔を具材としています。
生湯葉
大豆を煮て粉砕して搾った豆乳を煮立て、その表面にできた生湯葉で、日蓮聖人が身延山に入山して食され始めたと言われます。
しょうゆの実
野菜の栽培や稲作に不向きな高冷地の芦安地域で古くから伝わる郷土料理で、大豆と麹を発酵させてつくる保存食です。
いのぶた鍋
笛吹川の上流にあたる三富地域は昔から狩猟が盛んで、戦後の食糧難でイノシシと豚を掛け合わせたイノブタが食べられるようになりました。
山梨県の地ビール等
八ヶ岳タッチダウンビール
1997年に清里高原で生まれたビールで、濾過も熱処理の工程を行わずに酵母が生きたままです。