島根県の料理

中国山地を背に日本海に面する島根県は、山の幸と海の幸が豊富な土地です。出雲そばは日本三大そばの一つに数えられ、海水と淡水が混じる宍道湖では宍道湖七珍と呼ばれるスズキ、シラウオ、コイ、シジミ、うなぎ、モロゲエビ、アマサギが収穫されます。隠岐諸島では海藻などを使う独自の食文化が醸成しています。
島根県の郷土料理

干し大根の煮しめ
秋から冬にかけて収穫される大根は、保存食として干し大根にしました。干し大根は旨味や甘み栄養価が凝縮され、石見地方では煮物にして食べられます。

隠岐アラメの炒め煮
海に囲まれている隠岐では多彩な海藻類が収穫されます。隠岐の特産であるアラメは海の恵みとして親しまれており、日常的に炒めて食べられています。

角ずし
石見地方に伝わる肉や魚を使わずに人参などの野菜を使う押し寿司で、石見銀山に派遣された代官の奥方が江戸の味を懐かしんで作りました。

うずめ飯
津和野町などに伝わる日本五大銘飯の一つです。贅沢しているのを悟られないため、ごはんの下に小さく刻んだタイや野菜を隠した出汁茶漬けです。

小豆雑煮
甘さをひかえめに煮た小豆に餅を入れた雑煮で、正月に食べらられます。丸餅を使うぜんざいに似た料理ですが、ぜんざいよりも優しい甘みが特徴です。

たけのこ山椒煮
弘化3年(1846年)に安松市郎兵衛は、米が十分に収穫できない島田地区でタケノコ栽培を始め、タケノコをカツオ節を加えた煮汁で煮た料理が生まれました。

柿なます
東広島市西条地区を原産とする西条柿がよく収穫されています。西条柿は干し柿に適しており、干すことで糖度がさらに凝縮されます。

ばくだんおにぎり
隠岐地域ではのりやアラメ、テングサやひじきなど海藻がよく獲れます。丸く大きく握ったおにぎりに醤油を塗った岩海苔を巻いて作られています。

くじらご飯
クジラの皮を使う炊き込みご飯です。雪深い浜田市や益田市などでは、家庭でクジラの皮を大量に買いこんで塩漬けにしていたとされます。

黒田せりとほうれんそうのおひたし
黒田セリは江戸時代から伝わる松江市の郷土野菜です。松江藩主・松平宜維はセリの品種改良を奨励して、本格的な栽培により食べられるようになりました。

うなぎ豆腐
宝暦6年(1756年)に中海でウナギが突如として大漁になり、ウナギ蒲焼と焼豆腐を出汁で煮た料理が食べられるようになりました。

スズキの奉書焼き
スズキは宍道湖を代表する魚介類である宍道湖七珍のひとつです。松江藩主・松平治郷の所望によりスズキを奉書に巻いて蒸し焼きにしたのが始まりです。

白魚のかき揚げ
松江市で食べられる白魚と野菜をかき揚げにした料理です。白魚は宍道湖七珍のひとつに数えられ、松江の白魚は日本一と言われてきました。

鯉の糸造り
宍道湖を代表するヤマトシジミ、アマサギ、シラウオ、スズキ、モロゲエビ、コイ、うなぎは宍道湖七珍とされ、糸状にしたコイの身にコイの卵をまぶした料理が食べられています。

赤貝がらん蒸し
赤貝を酒や水で蒸し焼きにした料理です。赤貝は汽水湖の中海で獲れるサルボウガイのことで、皮をはがれた因幡の白兎の傷を癒したのがこの貝と言われます。

アゴの子旨煮
トビウオの卵を出汁で炒め煮にした料理です。トビウオは初夏を告げる魚として親しまれ、田植え魚とも言われています。

ドジョウのけんちんじる
安来市では田んぼで育てたドジョウを食べる文化が根付いています。ドジョウは唐揚げや甘露煮で食べられるほか、けんちん汁として食べられます。

ふきのとう味噌
春の味覚であるふきのとうは、田畑のあぜ道や山間部の山林などで採集できます。ふきのとうは茹でられて味噌で食べるほか、天ぷらなどにもされます。

つみれ煮
日本海は対馬暖流が流れて豊かな漁場を形成します。沖ギス、アジ、トビウオなどはすり身にされ、ゴボウやネギと一緒につみれにされて汁物として食べられます。

すもじ
焼いたサバの身をご飯と混ぜたちらし寿司のひとつです。島根県は全国トップクラスのサバの産地で、日本海の冷たい荒波で育つサバは脂がのります。

出雲そば
岩手県のわんこそば、長野県の戸隠そばと並び日本三大そばに数えられます。松平直政が移封されたときに出雲地方に伝えられたとされます。

さざえ飯
サザエを使う炊き込みご飯です。隠岐は平安時代に御食国と呼ばれる食材の宝庫で、サザエをはじめアワビ、バイガイやニイナガイなどの多彩な貝類も獲れます。

トビウオの刺身
島根県はトビウオの漁獲量が多く、アゴの名で親しまれています。トビウオは5月から8月に漁獲され、身は淡泊で脂肪がほとんどありません。

かしわ餅
島根県全域で端午の節句の時期に柏餅がつくられる風習があります。かしわの葉は自生していないため、サルトリイバラの葉で巻いて蒸しているのが特徴です。

しじみ汁
全国で7番目に大きな汽水湖である宍道湖は、全国有数の大粒のヤマトシジミの産地です。出雲地方などでは、ヤマトシジミの味噌汁が親しまれています。

へか
太田市などの漁業が盛んな地域で食べられています。へか鍋という鉄製の平たい鍋で魚介を味噌仕立てのすき焼き風にして食べます。

すまし雑煮
醤油仕立てのすまし汁風のつゆに丸い餅を出汁に入れて食べられている雑煮です。丸餅を使う風習があり、岩のりにかつお出汁などが使われます。

笹巻き
東部地域や隠岐地方で食べられる団子で、端午の節句などで食べられます。米粉の団子を熊笹の芯棒を刺して、数枚の熊笹で巻いて茹でています。
島根県の料理

津和野郷土料理セット
ふき飯、すまし汁、葉わさびのしょうゆ漬、里芋の煮物、さしみこんにゃくなど、津和野町の山の幸が集合しています。

うどんの自販機
最近見かけることのない自販機がありました。試しに食べてみましたが、エビの天ぷらやかまぼこも乗せられていました。