ジャンタル・マンタル
ジャンタル・マンタルは、18世紀にジャイ・シング2世により建てられた天体を観測する施設です。インド5か所に設置されたジャンタル・マンタルのうちジャイプルは最大規模で、2010年に世界遺産に認定されています。
ジャンタル・マンタル天文台
ジャンタル・マンタルは、ジャンタル(機器)とマンタル(計測)を意味し、天体を計測する機器を表します。ジャイプルの街を築いたジャイ・シング2世は天文学の造詣にも深かったため、ペルシャやヨーロッパの書物や天体観測儀を集めて1728年から1734年に天文台を建てました。
ジャンタル・マンタルはインドに5ヶ所設置されますが、ジャイプルのジャンタル・マンタルは観測儀が16個も設置されており最大規模になります。これらの観測儀により太陽の高さや位置などが計測でき、占星術が盛んなインドでは今でも現役で使用されています。
- デリー(最初に建造)
- ジャイプル
- ベナレス
- マトゥーラ(現存しません)
- ウッジャイン
ジャイプルのジャンタル・マンタルは、ジャイ・シング2世が首都をアンベール城からジャイプルに遷都した直後にマハラジャの居城「シティ・パレス」の一角に建てられましたが、現在は単独した施設の一角として公開されています。現在の天文学や占星術に使用される観測儀は1901年に修復したものですが、天体望遠鏡が発達する以前の技術で造られています。ジャンタル・マンタルは、2010年に世界遺産に登録されています。
巨大な日時計で時間の精度は2秒と正確です
暦を作るために太陽を観測する観測儀です
ジャンタル・マンタルは、まるでアートのような特徴ある巨大な観測儀が並びます。サムラート・ヤントラ(日時計)は高さ27.4メートルある巨大な建造物で、時間の精度は2秒と正確です。この傾斜の先に北極星があるように造られ、太陽の影の場所が時間により変わることを利用して時刻を求めることができます。ナリ・ヴァラヤ・ヤントラ(二重赤道日時計)は暦を作るために使われ、季節によって影の傾きが変わることを利用して月を算出しています。
太陽の動きを観測する観測儀です
干支の星座を観測する観測儀です
天体観測儀も幾つか造られており、ジャイ・プラカシュ・ヤントラ(凹⾯半球)と呼ばれる穴の形状になる天体観測儀は中央の線が赤道を表し、影の形から太陽の位置関係を算出するもののようです。また、インドは占星術が盛んでインド占星術で使用するラーシ・ヴァラヤ・ヤントラと呼ばれる12星座の観測儀があります。干支ごとに12ある観測儀は、それぞれ南中したときに黄道の北極を向くように造られており、黄道座標での惑星の位置を図ることができます。