歴史、文化、グルメに触れる教養チャレンジ!【まいぷら】私のぷらぷら計画(まいぷら)

歴史、文化、グルメに触れる教養チャレンジ!

英国王室と英国議会の関係

イギリス・ロンドンのウェストミンスター宮殿

テムズ川沿いにあるウェストミンスター宮殿(国会議事堂)はビッグベンの愛称で親しまれる時計塔が併設する世界で最も有名な国会議事堂と言えます。その背後にあるウェストミンスター大寺院は英国王室と関わりが深く英国王室の戴冠式や結婚式などの行事が行われます。また、宮殿と大寺院の間にある聖マーガレット教会は多くの著名人が結婚式を挙げています。英国史のなかで貴重な存在であるウェストミンスター宮殿、ウェストミンスター大寺院と聖マーガレット教会は1987年に世界文化遺産に登録されています。

ウェストミンスター宮殿

テムズ川のほとりにあるウェストミンスター宮殿は、11世紀半ばにエドワード王が建設したのが始まりで、1066年にウィリアム1世の宮廷が置かれました。1512年にヘンリー8世が王宮をホワイトホール宮殿に移すまで国王の住居として利用されましたが、その後は1529年からイギリスの国会議事堂として使用されています。建物は1834年の火災で大半が焼失しましたが、1852年に再建されて現在に至ります。

イギリス・ロンドンのウェストミンスター宮殿

ウェストミンスター

ウェストミンスター宮殿はテムズ川のほとりにあり、ビッグベンの愛称で親しまれる時計塔が併設されています。

イギリス・ロンドンのウェストミンスター宮殿

ウェストミンスター

ツアーに参加すれば1834年の大火事を免れたウェストミンスター・ホールほか上院議場などの内部を見学することができます。

英国議会と英国王室の対立

英国議会は14世紀から上院(貴族院)と下院(庶民院)の二院制となりました。1625年にイングランド・スコットランド・アイルランド国王に即位したチャールズ1世は、スコットランドに英国国教会への帰依を強要したため内乱に発展し、その軍費を捻出するために不当な税金で国民を苦しめました。英国議会は1215年にジョン王に対して認めさせた大憲章(マグナ・カルタ)を拠り所として、議会の同意なしに増税できないことや不法な逮捕や投獄などを行わない権利の請願を国王チャールズ1世に求めましたが、これを不服としたチャールズ1世は増税を強行し、ピューリタン(清教徒)の弾圧を行いました。

清教徒革命

チャールズ1世の行動に反発した下院議会は、大抗議文を可決して国王を追い込みますが、1642年国王は軍隊を組織して下院議場を攻撃しました。イギリス議会は王党派と議会派に分かれて対立を深め、清教徒革命(ピューリタン革命)と呼ばれる内乱に発展しました。1645年にネーズビーの戦いで国王軍が破れると1649年にチャールズ1世は処刑されました。これ以来、イギリス国王がウェストミンスター宮殿の下院議場に足を踏み入れることは許されていません。

チャールズ1世

チャールズ1世

英国議会を無視して増税や清教徒(ピューリタン)の弾圧を行い、清教徒革命と呼ばれる内乱を招きました。

ネーズビーの戦い

ネーズビーの戦い

クロムウェル率いる議会派が王党派を破り、チャールズ1世は処刑されました。

ビッグ・ベン

1834年にウェストミンスター宮殿が火災に遭い大半が焼失すると、宮殿の修復とともに1842年から1859年にかけて高さ96メートル、幅12メートルの時計塔が建造されました。イギリスの建築家チャールズ・バリーが設計し、建造当初の時計塔は1日に1秒も狂わない精巧な世界最大の時計台でした。1939年に始まる第二次世界大戦ではロンドンは大変な被害を受けて、ウェストンミスター宮殿は大破しましたが、時計塔は奇跡的に被害を受けず戦時中も鐘の音を鳴らし続けました。時計塔は2012年にエリザベス2世の在位60周年を記念してエリザベス・タワーと呼ばれるようになりました。

イギリス・ロンドンのウェストミンスター_ビッグベン

ビッグベン

ウェストミンスター宮殿に併設される時計塔で、ロンドンのランドマーク的な存在です。

イギリス・ロンドンのビッグベン

ビッグベン

建造当初は1日に1秒も狂わない世界最大の時計台で、定時に鳴らされる鐘の音は日本の学校のチャイムと同じです。

ウェストミンスター大寺院

960年頃に設立された小さな修道院は、1065年にエドワード懺悔王が教会を建築したのを皮切りに改装や改築が繰り返され、英国最大級の英国国教会の教会であるウェストミンスター大寺院となりました。英国王室と関係が深く、1066年のウィリアム1世の戴冠式から現在に至るまで戴冠式や結婚式などの英国王室の行事が執り行われ、2011年にはウィリアム王子とキャサリン妃の結婚式が執り行われました。地下の巨大墓地(カタコンベ)には歴代の君主17人を含む約3300人が眠り、中には進化論を説いたチャールズ・ダーウィン、古典物理学者アイザック・ニュートン、車いすの天文学者スティーブン・ホーキングなども眠ります。

エドワード懺悔王

エドワード懺悔王

強い信仰心と敬虔な振る舞いから証聖王と呼ばれ、1065年にウェストミンスター大寺院の前身となる教会を設立しました。

クリストファー・レン

クリストファー・レン

イギリスの建築家で、グリニッジ王立天文台のほか多くの歴史的な教会などを手掛けました。

イギリス・ロンドンのウェストミンスター大寺院

ウェストミンスター大寺院

高さ約68メートルある双塔はクリストファー・レンが手掛けています。

イギリス・ロンドンのウェストミンスター大寺院

ウェストミンスター大寺院

ゴシック様式の特徴である丸いバラ窓が取り付けられます。

聖マーガレット教会

聖マーガレット教会は12世紀にロマネスク様式で建てられた教会です。ウェストミンスターに新しく設立された聖ペトロ修道教会の修道士たちは毎日定められた時間に祈りを捧げていましたが、ミサに訪れる人が急増したことで祈りを捧げる妨げになりました。そこで地元の人が礼拝するための場所として修道院の隣に聖マーガレット教会が設立されました。最初の建物はエドワード3世の治世まで存続していましたが、15世紀の終わりには建て替えなければならないほど荒廃したため、1523年に再建されて現在に至ります。

イギリス・ロンドンの聖マーガレット教会

聖マーガレット教会

小さな白亜の教会で、ウィンストン・チャーチルなどの著名人が挙式した場所としても有名です。

イギリス・ロンドンの聖マーガレット教会

聖マーガレット教会

美しいステンドグラスは、ヘンリー8世の兄アーサーとキャサリン・オブ・アラゴンの婚約記念としてフェルナンド2世から贈られたものです。