高知市

高知市は、高知県の中央部に位置します。北部には四国山脈があり南部には土佐湾が広がる温暖で自然豊かな地域です。山内一豊が前領主長宗我部氏の大高坂山城を高知城に改城し、土佐藩城下町が整備されて発展しました。幕末には坂本龍馬や武市瑞山など多くの志士を輩出した土地でもあります。

概要

特集

土佐藩山内家の藩政

山内家は江戸時代を通して統治し、安定した藩政で幕末には雄藩のひとつとして徳川将軍家に恭順しつつ大政奉還を進言しています。

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幕末の動乱と土佐勤労党

幕末の土佐藩では、公武合体を進める山内容堂と尊王攘夷運動を推進する土佐勤王党が対立しました。やがて討幕へと突き進む中で坂本龍馬らが活躍しました。

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歴史

高知市は細川京兆家が守護職として統治し、国人衆の長宗我部家が吸江庵の寺奉行として地盤を固めました。細川家の家督争いで土佐国の国人衆も争うようになり、やがて長宗我部氏が台頭して四国地方を統一するまでに成長しました。関ヶ原の戦いで長宗我部氏が改易されると山内氏が藩主となり、幕末には倒幕に大きな影響を与えました。

旧石器時代、縄文時代、弥生時代

高知市の最古の人の営みは、高間原での旧石器時代の細石器となります。縄文時代には長浜チドノ遺跡などで土器片が出土したほか、縄文時代後期から県内屈指の規模を誇る西分増井遺跡群が縄文時代後期から造営されました。弥生時代には朝倉の城山遺跡や鴨部遺跡などが造営されています。

古墳時代、飛鳥時代

赤鬼山を中心に有力な氏族が勢力を誇りました。７世紀中期になると金谷川や東谷川などの扇状地に県内最古級の秦泉寺廃寺が築造されたほか、野田廃寺や大寺廃寺が築造されました。

赤鬼山

赤鬼山は朝倉神社の御神体です。かつて赤鬼山を中心に有力な氏族が勢力を誇り、周辺には古墳が築造されました。

朝倉古墳

赤鬼山の南麓にある７世紀前半にある古墳で、高知県三大古墳の１つとされています。古墳は横穴式石室が露出しています。

奈良時代、平安時代

聖武天皇の命を受けた高僧行基は、神亀元年（７２４年）に文殊菩薩を謹刻して堂を結んで安置したことで竹林寺が創建しました。やがて竹林寺は荒廃しますが、大同年間（８０６～１０年）に空海が滞在し、荒廃した堂塔を修復したと伝えられます。延長８年（９３０年）に紀貫之は土佐国司として統治し、任期後の土佐から京までの道中を土佐日記として記しています。

鎌倉時代、南北朝時代

夢窓国師（夢窓疎石）は、鎌倉時代後期から室町時代にかけて活躍した禅の高僧です。後醍醐天皇や足利尊氏から帰依され、甲斐国恵林寺や京都の臨川寺や天龍寺を創建しています。天龍寺船による中国元との貿易を行い、その活動で得た財により天龍寺などが創建されています。

吸江庵跡

文保２年（１３１８年）に土佐に来錫した夢窓国師が五台山西麓に結んだ庵で、秦氏の末裔でのちに四国を統一していく長宗我部氏が寺奉行を務めました。

竹林寺庭園

行基菩薩が開山した寺院で、甲斐国恵林寺や鎌倉瑞泉寺に庭園を造営した夢窓国師が庭園を造営しました。

室町時代、安土桃山時代

室町幕府により、細川京兆家が土佐国守護を務めました。細川京兆家は管領を務めていたため、京に居住して土佐国は吉良氏、石川氏、横尾氏、大平氏などが守護代として統治していました。永享５年（１４３３年）に細川満益が守護代となると細川一族が守護代を世襲していき、細川家の支配下には本山氏、大平氏、山田氏、香宗我部氏、安芸氏、長宗我部氏などの国人衆がいました。

土佐国人衆の内乱

応仁元年（１４６７年）の応仁の乱で、土佐守護代細川勝益が上洛して細川氏の支配力が低下しました。永正４年（１５０７年）に永正の錯乱で細川政元が暗殺されると、細川家の家督争いに影響されて土佐国でも争いになりました。本山氏らは長宗我部氏の居城・岡豊城を攻めて長宗我部兼序が討死し、吉良氏もやがて本山氏に攻められて吉良氏は滅亡しました。本山茂宗は土佐中央部に進出して永禄３年（１５６０年）に長浜の戦いで長宗我部氏を破り浦戸城を奪いましたが、天正１９年(１５９１年）に長宗我部元親が浦戸城を奪還して本拠としました。

朝倉城跡

長宗我部国親が亡くなると、家督を継いだ長宗我部元親が永禄６年（１５６３年）に朝倉城を攻略し、やがて本山茂宗を服属させました。

長宗我部元親墓

長宗我部元親は土佐国を制圧すると四国統一を目論みますが、豊臣秀吉の四国征伐で降伏して土佐国を安堵されました。

南学発祥地

吉良宣経が周防国から迎えた南村梅軒は仏教や朱子学を伝え、のちに谷時中が野中兼山らに伝えて土佐南学として発展しました。

谷時中墓

南村梅軒に朱子学を学んだ雪蹊寺の僧・天質から儒学を学び、海南朱子学の実質的な派祖となりました。土佐藩の基礎を築いた野中兼山らを指導しました。

江戸時代

関ケ原の戦いで西軍に与した長宗我部盛親は、徳川家康から改易されて山内一豊が土佐国を与えられました。２代藩主山内忠義は野中兼山を登用して藩政改革を進めて土佐藩の基盤を固め、宝暦９年（１７５９年）に藩校・教授館が設立されました。

尊王攘夷運動

天明の大飢饉や天保の大飢饉で藩財政が傾いていくと、１３代藩主となる山内豊熈は馬渕嘉平を登用して藩政改革を進めますが、上士からの反発により失敗して山内容堂の代に吉田東洋へと引き継がれました。この頃は全国的に尊王攘夷運動が盛んになり、武市半平太が土佐勤王党を設立して吉田東洋らを暗殺して尊王攘夷派を推し進めました。さらに坂本龍馬、中岡慎太郎、板垣退助らは倒幕に向けて時代を動かしていきました。

高知城跡

山内一豊は長宗我部遺臣に対して威厳を示すため高知城の築城を始め、山内家家臣を上士として長宗我部遺臣との格差を図りました。

土佐藩主山内家墓所

土佐一国を与えられた山内家は、江戸時代を通して統治しました。筆山の麓には墓所が置かれ、１５代豊信を除く歴代藩主とその家族が葬られています。

貞亨元年銘法華経塔（五台山の経塔）

貞享元年（１６８４年）に法蓮寺の住持日教は、法華経を３部書写し人びとが利益に預かることを願い法華経塔（五台山の経塔）を建立しました。

鹿持雅澄邸跡

家老・福岡孝則の知遇を得て藩校教授館の写本係となりました。宮地仲枝に師事して万葉集の研究に打ち込み万葉集古義を完成させました。

土佐遍路道（竹林寺道）

山内家入国以後整備されたと伝えられる五台山の中にある遍路道で、吸江の旧船着場から竹林寺仁王門へと至ります。

土佐遍路道（禅師峰寺道）

竹林寺仁王門から分岐して禅師峰寺に向かう石畳の道です。長宗我部元親が浦戸在城時に設けたとされ、その後も整備が進みました。

明治時代、大正時代、昭和時代

明治４年（１８７１年）の廃藩置県により高知県となると、初代知事として林有造が就任しました。明治９年（１８７６年）から日曜市が開かれるようになり現在も続いています。明治２２年（１８８９年）に市制の施行により高知市が成立すると、明治３７年（１９０４年）には現存する日本最古の路面電車である土佐電気鉄道が開業しました。太平洋戦争末期の昭和２０年（１９４５年）に高知大空襲により荒廃しますが、復興を遂げて現在に至ります。